子宮頚ガンの診察・検査■診察■ まず婦人科では、骨盤内の臓器を診察する為内診台での診察が必須となります。 視診・触診に続き膣鏡診(コルポスコピー)が行われます。 クスコ(腟壁を広げて観察する為の器具。アヒルのくちばしのような形をしています。)を膣に挿入し、 膣内・子宮膣部・外子宮口を診ます。 膣鏡(膣拡大鏡)をコルポスコープと言い、拡大して観察することによって病変部位を識別します。 双眼式と単眼式があり、肉眼的には観察出来ないような初期ガンや前ガン状態なども膣鏡診で診断する事も出来ます。 異常所見としては、白斑・モザイク・紅斑点・角化上皮・異常血管などがあり 生検(生体組織検査)部位を決定するのに有用で、不要な生検、円錐切除を減らす事が出来ます。 続いて内診です。 手袋をはめた指を膣内に入れ、腟壁の強さと安定度を調べます。 そして、膣内と下腹部を両手で挟むように触診する事で、子宮や卵巣の位置や大きさ、状態などが分かります。 内診後、一般的には経膣超音波検査を行い、子宮や卵巣を観察します。 卵巣が腫れていれば、大きさ・性状なども分かります。 また、腹水や体腔内の液体貯留の様子も容易に観察する事が出来ます。 他にも、経腹超音波検査(腹部へプローブ=”超音波を発する装置”を当て直接観察する方法)などもありますが たいていは経膣法のみの場合が多いです。 病変が大きいと思われる場合には、全体像を把握する為経膣法より経腹法が有用です。 ■細胞診・組織診■ *細胞診* 市の検診などでも行われる基本的な子宮ガン検診です。 パップスメア検査とも呼ばれ、綿棒やブラシで子宮頚部の表面から細胞を採取し スライドグラスに載せて染色処理して顕微鏡で観察し、ガン細胞の有無や異常な細胞の有無を調べます。 細胞診では、5つのクラス分類が行われます。 通常、健康な方でもクラス2の場合が殆どです。
*組織診* 細胞診で異常が確認された場合(前ガン状態、またはガンである疑いが強い) 狙い組織診(パンチバイオプシー)などの結果により診断します。 通常、コルポスコープ下で行われ、観察時に異常があると思われる病変部分から組織片を採取します。 パンチのようなものでパチンと挟み取るので、つままれている感覚や引っ張られている感覚、 採取する場所によってはチクッとする痛みはありますが、基本的に麻酔などは使用されません。 正直、私も苦手ではありますが、ガマン出来ないような強い痛みではありません。 子宮や膣は、痛みに鈍感な臓器だそうです。 ■子宮頚ガンの診断■ 細胞診と組織診に矛盾がある場合や諸検査で診断が不明確な時には、 子宮頚部円錐切除によって診断を確定します。 原発巣の広がりは、視診・内診および直腸診によって判定します。 膣や子宮傍結合織、膀胱・直腸粘膜へのガン浸潤の有無を判定します。 その他、腎盂尿路撮影(DIP)、CTやMRI像も腫瘍の広がりを診断する方法として有効です。 また鼠径部、頚部、鎖骨上窩、腋窩などの表在リンパ節がはれていないかどうかチェックします。 触診の他CTやMRIおよび超音波診断も有用です。 遠隔転移の有無は上記画像診断法や、シンチグラム、PETスキャンなどで検索します。 続いて、次の「それぞれの検査」のpageで各検査の詳しいお話をしていきます。 |